自分の弱点や課題はわかったけど、英語教材が多すぎて何を選べばいいかわからない…
英語を学習している中で、一度は「教材選び」で悩まれたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
私も英語学習を始めた頃はがむしゃらにいろいろな教材に手を出して、効果があるのかわからず結局やめてしまい、また新しい教材を探す…という無限ループに入っていたことがあります。
しかし、今では英語教材選びで迷うことはないですし、英語教材の開発や英語コーチとしての経験を経て、生徒さんにも課題解決のために最適な教材をお伝えすることができるようになりました。
それは良質な英語教材や「今の自分にとって」最も効果的・適切な教材選びのポイントを理解することができたからです。
英語コーチングの流れの中でも「教材選定・トレーニング方法」は、効果的で効率的な学習を実現するのに必須の項目。
そこで今回は「③ 教材・トレーニング方法の選定」について、私自身がとても大切にしている教材選びのポイント、そして生徒さんに使っていただいて効果の高かった代表的な教材を英語の課題別にご紹介していきます。
本記事を読むことで、みなさんが英語教材選びに迷うことがなくなり、2度と無駄な時間やお金をかけることなく教材を選べるようになるはずです。
ちなみにこちらの英語コーチング記事はシリーズになっていて、前回の記事「② 課題発見・分解」を読んでいただいてからの方が、話が入りやすいと思います。
それでは、いってみましょう!
目次
良質な英語教材を選ぶ
ポイント
それでは早速結論からですが、英語教材を選ぶ際に一番重要なポイントは自分の課題に応じて教材を選択することです。
自分の課題というのは、
「TOEIC600点を取るための
基礎的な語彙量が足りない」
「速いスピードのリスニングの
音の聞き取りができない」
「スピーキングで
文章を作るスピードが遅い」
など、英語における自分の弱点のことを指します。
当たり前の話ですが、自分の弱点が改善されていけば、必ず英語力は向上していきます。
しかし、自分の英語の課題分析が漠然とした状態だとまだまだ教材の選択肢が広すぎます。
例えば「語彙量が足りない」という課題があったとしても、基礎の英単語が足りないのか、資格試験対策のための英熟語が足りないのか、
はたまたビジネスで使うような慣用表現が足りないのか、などが曖昧な状態だと結局は教材選びに迷うことに。
なのでここでもう一歩進んで、「TOEIC600点を取るための基礎的な単語量が足りない」というところまで課題分析ができると、一気に教材の選択肢が絞られることになります。
課題分析の方法は上記の記事でもご紹介していますが、今回は生徒さんからよく伺う代表的な課題を例に挙げ、それぞれ課題解決に適した教材をお伝えしていきます。
下記、「BASIC/ADVANCE(基礎/応用)」「SPEAKING」「LISTENING」「WRITING」「READING」の5つの項目に英語技能をわけて、それぞれの代表的な課題を挙げています。
「BASIC/ ADVANCE」の語彙量・文法力・発音に加え、それぞれ4技能の内の鍛えたい箇所に応じて課題は異なります。
この異なる課題に対して、課題解決のための適切な教材をピンポイントで選び、適切なトレーニング方法を実践できると弱点は着実に改善されていきます。
課題が違えば学習の道筋も変わってくるので、ただ闇雲に人からおすすめされた英語教材を選んだり、流行っているかという理由で教材を選ぶのではなく、「この教材を使うことで自分の課題は改善されるのか?」という視点を必ず持って教材を選択していきましょう。
次の章からは、英語学習の代表的な課題解決別に、おすすめの教材をご紹介していきます。
課題別おすすめ英語教材
それではここからは、課題別おすすめの英語教材をご紹介していきます。
「基礎」+「応用」+「英語の4技能」に分けてご紹介していくので、自分の課題に応じて取り組むべき教材を決めていきましょう。
基礎、応用、英語の4技能は全てに相互作用があります。
特に基礎の部分は全てを司るものなので、課題や弱点を感じられている方はまず真っ先に取り組みましょう。
単語・文法・発音(基礎)
単語・文法・発音の基礎力は英語の土台となる部分ですので、こちらに課題がある場合はまず真っ先に固めていく必要があります。
英語コーチングとして100人以上、スクールの他の受講生など含めて英語学習者を数千人は見てきましたが、基礎ができているかできていないかでその後の学習の効率は大きく異なります。
個人的に基礎単語・文法・発音は下記の3つに数字を使って定義しているので、これらが不十分で課題を感じているのであれば効果的に習得できる教材を使用して固めていってください。
単語:英単語2,600-3,100語以上
文法:基礎文法項目9項目
発音:英語の特徴・音の変化3項目
英語の基礎の定義に関して詳しくは、下記の記事に書いています。
基礎単語
まず基礎単語に関しては「中学高校で学ぶような基礎的な語彙量が不足している」という課題を解決していくために、下記の3つの教材を用いて基礎レベルとなる3,000語以上の語彙量の土台を作り上げていきます。
これら3つの単語帳を使用すれば、高校卒業レベルの単語量(2,600-3,100語)を習得することが可能なので、基礎の語彙量不足という課題を解決することができます。
基礎文法
続いては基礎文法です。
文法に関しては「中学高校で学ぶような基礎的な文法力が不足している」という課題について、下記さまざまな場面で頻出の9つの文法項目を押さえれば課題解決が目指せます。
- 品詞
- 文型
- 時制
- 助動詞
- 疑問詞
- 冠詞&代名詞
- 前置詞&接続詞
- 不定詞&動名詞
- 比較
教材としては、解説が丁寧でわかりやすい『ブレイクスルー総合英語』が適切です。
また、これら9項目に関してはブログやYoutubeなどでもわかりやすい解説があるので、教材意外で学んでいく形もおすすめです。
本ブログでも9項目について詳細に解説した記事を、ご用意しています。
基礎発音
基礎発音については一朝一夕にできるようになるものではないですが、日本で英語を勉強していると「英語の音の特徴や音の変化を知らない」という課題が必ずといっていいほど出てくるので、
教材を活用することで着実に理解、トレーニングしていく必要があります。
また、本ブログに英語の音の特徴について詳しく解説した記事もありますので、こちらを先に読んでから教材に取り組んでいただくと効率的に発音学習をしていくことができます。
単語・文法・発音(応用)
応用単語・文法・発音に関しては、基礎が身についた上でさらにレベルアップを目指して取り組んでいく項目です。
単語:英単語5,000語以上〜
文法:応用文法6項目
発音:応用発音4項目
応用単語
応用の単語に関しては高校-大学レベルの3,000-4,000語を超えて5,000語以上を目指していくことになるので、下記のような教材を使って着実に語彙量を増やしていくことが適切です。
ちなみに、ネイティブの方の語彙量は平均で20,000-30,000語と言われていて、語彙量が多ければ多いほど全ての英語の技能に役立つため、私含め英語学習者ほぼ全員が「語彙量が圧倒的に足りない」という課題があるはずです。
※とはいえ必要な語彙量は人によって異なるので、あくまで目安です。
応用文法
応用文法に関しては「中学高校の文法はある程度理解したけど、複雑な文法は理解しきれていない」という課題が多いです。
定義は難しいですが、個人的に基礎に加えて下記の6つの項目が理解、そして使いこなせるようになることが応用レベルだと定義しています。
- 仮定法
- 分詞構文
- 現在分詞
- 過去分詞
- 関係代名詞
- 関係副詞
これらの項目に関しても、先ほどご紹介した『ブレイクスルー総合英語』が丁寧にわかりやすく解説してくれています。
応用発音
応用の発音に関しては、基礎の知識や発音の仕方が身についた上で「ネイティブに近い発音ができない」という課題が多いです。
発音も定義が難しい部分がありますが、下記の4つの発音に関する項目を一つずつ改善していくのが遠回りのようで一番の近道になりえると思っています。
- 音の変化
- 音節
- 母音子音
- 口の形・舌の位置
これらの項目を改善することで、感覚的にだけではなく、定量的に Versant や英検といった試験でも発音の点数が上がることが多いです。
応用発音のための教材は下記2つで、詳しい内容は別の記事にまとめています。
リスニング(音声知覚)
リスニングは、音を聞き取ってから意味を理解するという2つのプロセスを踏みます。ちなみに、それぞれ応用言語学的に「音声知覚」「意味理解」と呼ばれています。
上記のようにリスニングに関しては、
「音声を聞き取る力(音声知覚)」または「意味を理解する力(意味理解)」のどちらかに課題があることが一般的です。
リスニングのプロセス:
音声知覚 → 意味理解
そしてまずは音声を聞き取れる状態(=音声知覚力の強化)を作っていきます。
音を聞き取れるようになるためのトレーニング方法はいくつかありますが、個人的な経験や生徒さんの指導経験を踏まえると「オーバーラッピング」や「シャドーイング」、「多聴」が非常に効果的です。
それぞれ、おすすめの教材を挙げていきます。
オーバーラッピング
オーバーラッピングとはスクリプトを見ながら音声を聞き、音声に重ねて発話していくというトレーニングで、
精度を上げるために話者の方の真似を徹底的にしていくため、発音(音声化)の改善が大きく見込めます。
発音が改善されると聞き取れる音の幅も広がり、音声知覚もスムーズに行えるようになります。
おすすめの教材は次にご紹介するシャドーイングと同じなので、まとめてご紹介していきます。
シャドーイング
前提としてシャドーイングに適している教材は、「WPMが自分が聞き取れる音+10程度」の音源です。
WPM とは「Words Per Minute」の略で、1分間に話される英単語の数、つまりその英語音源のスピードを表す指標です。
わかりやすい例としては、TOEIC音源の平均WPMは150、ネイティブの方が対大勢に話しかける際は平均WPM170-190、海外ドラマや洋画などはWPM220-250以上などで、英語の音源によってスピードは大きく異なってきます。
教材に使う音源のWPMが、今の自分が聞き取れるものとかけ離れすぎている(=早すぎて追いつけないものになる)と、シャドーイングをすることがかなり難しくなります。
そのため、今の自分が楽に聞き取れるレベルから考えて「少しだけ早い」と感じるもの(=WPM+10程度)を選んでいくことが教材選択の基準になります。
この基準を満たしやすいおすすめの教材は『TOEIC公式問題集』や『TED』です。
『TOEIC公式問題集』のリスニングパート Part3 や 4 は平均WPMが150なので、はじめにオーバーラッピングやシャドーイングに取り組む上では適切です。
また、『TED』 には WPM130 から WPM200 以上の音源などが多種多様に揃っているので、自分のレベルに合わせて教材を選択することができます。
シャドーイングの具体的なやり方やメリットに関しては、下記の記事をご覧ください。
リスニング(意味理解)
リスニングの2つめのプロセスである「意味を理解する力(意味理解)が足りない」という課題を鍛えるためには、多聴や精読・速読・多読が有効です。
リスニングのプロセス:
音声知覚 → 意味理解
それぞれのトレーニングに適した教材をご紹介します。
多聴
多聴に適した教材は先ほどの「シャドーイング」同様、今の自分が余裕をもって音を聞き取れ、意味が取れる音源の+1の難易度のものが適しています。
スピードやTOEICリスニングの点数をもとに、おすすめの多聴教材は下記の記事にまとめています。
精読・速読・多読
精読・速読・多読とはそれぞれリーディングに特化したトレーニングですが、速く正確に英文を読むことができる=リスニングの際も意味理解が速くなるという状態を作るのに役立ちます。
精読に関しては一番の目的は「チャンク読み」を身につけることなので、下記の教材など簡単な教材を用いて徹底的にチャンクの練習をするのが重要です。
そして、精読を通じて一定の文法力、「チャンク読み」できる力がついたら、速読を実施していきましょう。
速読は読解のスピード、精度を高めていくトレーニングで、自分の意味理解のスピードを毎回計測していく(WPMを計測する)ことが効果的な学習につながります。
スピードを計測する上では、下記の教材が便利です。
読解時間に応じて、換算表を使ってWPMを瞬時に算出することができます。
精読、速読でチャンク読みが身につき、チャンク読みした上で自分の読むスピードが一定に保てるようになってきたら、多読に移行していきましょう。
多読に適切な教材は今の自分の英語力で読んで70%以上理解できること(読み終わった後に、日本語で内容を要約できる)、
自分が面白いと感じるもの、になるので下記のようなテーマが豊富でレベルが5段階に分かれている、『ラダーシリーズ』のような教材がおすすめです。
スピーキング(概念化・シンプル化)
スピーキングに関しては
「言いたいことを思いつく力(概念化・シンプル化)」または「瞬発的に言いたいことを文章にする力(文章化)」、そして「文章にしたものを正しく発音する(音声化)」どこかに課題があることが一般的です。
スピーキングのプロセス:
概念化・シンプル化 → 文章化→音声化
スピーキングの際は言いたいことを考えてから、考えたアイデアを文章にする、そしてそれらを音声にするという3つのプロセスを踏むので、まずは言いたいことをスムーズに思いつく状態を作っていきます。
「え、言いたいことは日本語ですぐ思いつくよ?」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、ついつい英語で言えないような難しい日本語で考えてしまう、ということは非常に多いです。
例えば「切磋琢磨する」と英語で言いたい場合、即座に英訳するのは難しいと感じる方は多いのではないでしょうか。
ただ、この「切磋琢磨する」を「お互いに競い合いながら努力して、励まし合っている」のように分解していくと英訳しやすくなります。
こちらのシンプル化(簡単な日本語に言い換えること)ができるようになると、スピーキングの話しやすさが格段に増します。
シンプル化
先ほど挙げたように、スピーキングの際は「難しい日本語で考えてしまう」という課題があるので、できるだけ簡単な日本語に落とし込む「シンプル化」を鍛えることが課題解決につながります。
下記の図のように、難しい日本語をできるだけ簡単な日本語に噛み砕いていくイメージです。
シンプル化の練習は日頃から「これを英語にするには、どんな日本語で言い換えるといいんだろう?」と考える癖をつけることが効果的ですが、教材としては「NEWS WEB EASY」というサイトが適切です。
こちらのサイトでは、日本のニュースが外国人の方にもわかるように簡単な日本語で書かれています。
「こんな簡単な日本語で伝えることができるのか…!」という視点を得ることができるので、シンプル化強化には適している教材です。
スピーキング(文章化)
スピーキングの「瞬発的に言いたいことを文章にする力(文章化)」を鍛えるトレーニング方法としては、瞬間英作文やスピーチ、オンライン英会話などが有効です。
スピーキングのプロセス:
概念化・シンプル化 → 文章化→音声化
それぞれ適切な教材をご紹介していきます。
瞬間英作文
スピーキングでの「瞬発的に言いたいことを文章にする力」は生徒さんを見ていると最も多くの方が抱えられている課題ですが(eichanも一番苦しめられました…)、
スピードを速める上でまず真っ先に取り組むべき教材は「瞬間英作文」です。
それぞれ文章化の強化には王道の教材ですが、瞬間英作文シリーズは自分含め、生徒さんにも非常に効果が高かった教材です。
オンライン英会話
瞬間英作文はあくまで既にある日本語を速く英訳するというトレーニングなので、
実際に自分の言いたいことを文章化するトレーニングとしては「オンライン英会話」を活用するのが有効です。
文章化を鍛えるという観点では、「瞬間英作文+オンライン英会話」の組み合わせを実践していただいている生徒さんは、短期間(3-6ヶ月)でも大幅に伸びます。
スピーキング(音声化)
スピーキングの最後のプロセスは、「音声化」です。
スピーキングのプロセス:
概念化・シンプル化 → 文章化→音声化
当然ながら文が作れても、その文を正しく発音できなければ相手に伝えることはできないです。
音声化の改善としてはリスニング強化で取り上げた「オーバーラッピング」、そしてそのほか瞬間英作文やオンライン英会話などの実践を通じて改善していくことができます。
発音の詳しい鍛え方に関しては、下記の記事にまとめています。
リーディング
リーディングに関しては
「文字を認識する(単語・文を認識する)」、そして「意味を理解する」という2つのプロセスを踏むのでざっくりいうと「速く読むことができない」「正確に読むことができない」という課題が多いです。
リーディングのプロセス:
文字知覚 → 意味理解
これらは語彙量・文法力強化に加え、文章を読みながら素早く意味を理解していくために、読む量を増やしていく必要があります。
特にスピードを意識して、自分がどのくらいのスピードで文章を読むことができるかを把握することが第一優先です。
英文が読めるスピードを把握するためには、下記の教材が適しています。
WPMの換算表が入っているので、それぞれのトピックをどのくらいのスピードで読んでいるかが一目瞭然です。
ライティング
ライティングに関しては
「書きたいことを思いつく力(概念化・シンプル化)」、「瞬発的に言いたいことを文章にする力(文章化)」、という2つの力が必要です。
ライティングのプロセス:
概念化 → 文章化
ライティングは特にEメールや資格試験などの場面で使うことが想定されますが、「速く書けない」「正確に書けない」といった課題が多いです。
どちらもライティングの正しい型や頻出フレーズを学び、数をこなしていくことで改善されていきます。
ライティングの型や頻出フレーズについては下記の記事をご参照いただき、語彙・フレーズ量は『英文ビジネスEメール 実例・表現1200』という教材をご活用していただくと表現の幅が十分なレベルまで広がります。
まとめ
今回は、英語教材選択の際に大切なポイントと、英語の課題別におすすめの教材をご紹介しました。
課題発見をした後に正しい教材・トレーニング方法で学習に取り組むことができると、効率的な学習を実践することができます。
自分自身だけでなく、100名以上の生徒さんに実践していただき効果のあった教材だけをご紹介しているので、ぜひ自分の課題解決に役立ちそうなものはご活用ください。
次回の記事も引き続き③について、今回ご紹介した教材の具体的なトレーニング方法を深堀りしていきます。
英語コーチングの流れを理解していただくと話が入ってきやすいと思いますので、これまでの記事もぜひご覧ください!
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それでは、今回も最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!