コーチング

【英語コーチングの肝】失敗しない目標設定のために必要なたった1つのこと

英語学習をしてるけど、特に目標が決まっていない…
目標って必要なのかな?

英語コーチをしていると、様々な目標を持つ生徒さんに出会います。

TOEIC〇〇点達成などの明確な目標はもちろん、なんとなく「こういう状態になっていたい」という漠然とした目標、そしてそもそも目標は決まっていないなど、人によって状況は様々。

ただ、100人以上の生徒さんをコーチングしてきた経験から、ゴールがないと目標達成のスピードが圧倒的に遅れる(=学習の成果が出にくい)ということがわかってきました。

だからこそ英語コーチの一番初めの重要な仕事は、生徒さんの目標設定。

今回は英語コーチの視点から、失敗しない目標設定に必要なたった1つのことをお伝えしていきます。

英語コーチングは上記の図解の流れで基本的に行うのですが、今回は特に ① の「目標設定」を深堀り、下記のポイントを押さえた記事になっています。

  • 英語学習を失敗しない明確な目標設定をするためには?
  • 具体的な目標設定の例とは?

英語学習を頑張られている方だけでなく、英語コーチを目指されている方にもお役に立てればと思い記事を書いています。

それでは、いってみましょう!

失敗しない目標設定のために必要なたった1つのこと

それでは早速、失敗しない目標設定のために必要なたった1つのことをお伝えしていきます。

失敗しない目標設定のために必要なたった一つのこととは、「SMART」なゴールを設定するということです。

「SMART」とは目標設定に関連した英単語の頭文字をとった略語で、

  • Specific
    (具体的な)
  • Measurable
    (計測可能な)
  • Achievable
    (達成可能な)
  • Relavant
    (関連性がある)
  • Time-based
    (期限がある)

上記を表すゴール設定のフレームワークです。

それぞれの英単語 S・M・A・R・T に沿ったゴール設定をしていけば、スムーズに明確な目標ができるという優れもの。

このフレームワークを初めて知ったときは「何か横文字で難しそう…!」と思ったのですが、英語コーチとして経験を積めば積むほど SMARTに則ったゴールを設定できていると成果がでやすいということを実感してきました。

5つ全てに則っていなくても、S(具体的)・M(計測可能)・T(期限がある)など部分的に押さえるだけでも十分効果があります。

今回は実際に私がSMARTなフレームワークに則って生徒さんの目標を設定するときのように、それぞれの項目で何をどのように決めていけばよいかを見ていきます。

例として「英語で日常会話ができるようになりたい!」という漠然とした目標を持った生徒さんを仮定して、SMARTなフレームワークにあてはめた目標設定をしてみたいと思います。

ぜひみなさんも、自分自身の目標をあてはめて考えてみてください。

Specific(具体的な)

まずは「Specific(具体的な)」から。

こちらは、英語のゴールを可能な限り具体的なものにしていくという項目です。

例えばダイエットで「とにかく痩せたい!」という目標だとなかなか続かないですが、「昔履けていたジーンズを履けるようになりたいな」とか「結婚式で綺麗なドレス着たいな」みたいに具体的な目標にしていくとモチベーションが上がりやすくなったりもしますよね。

今回のテーマの「英語で日常会話ができるようになりたい!」というゴールは、「日常会話」「できるようになる」という部分が具体的ではなく、漠然としてしまっています。

これらの曖昧な部分を、具体化していきます。

例えば「日常会話」は幅が広すぎるので、下記のように具体化してみます。

  • 海外で旅行に行った時の買い物
  • 海外のホテルのチェックイン
  • 海外のレストランでの注文
  • 海外で地元の人とスモールトーク(天気の話など)
  • 日本で海外の人を道案内

同様に「できるようになる」という部分は、下記のように具体化できます。

  • 自信をもって英語を話すことができる
  • 言葉に詰まらず話すことができる
  • 簡単な単語・文法(中学レベル)で話すことができる
  • 相手の言っていることの要点が理解できる
  • 相手の言ったことがわからなければ聞き返すことができる

このように具体的にしていくことで、「英語の日常会話ができるようになりたい」という漠然とした目標を、

海外で旅行に行った時の買い物で質問をすることができて、相手の回答の要点を理解することができる状態を作りたい」というイメージしやすい目標にすることができます。

さらに、このように具体的な目標を設定することで、実際に英語を使う場面をイメージでき、学習へのモチベーションが上がり、かつ、目標を達成した際に、成長を実感しやすくなります。

クリアで具体的な目標を設定することができないと、いつまでたってもゴールに辿りつかないという現象が起きてしまうので可能な限り目標は具体的なものにしていきましょう。

Measurable(計測可能な)

続いては、「Measurable(計測可能な)」です。

こちらは英語のゴールにしているものを、定量的な数字を使って測れる状態にすることを指します。

定量的に測れる状態にすることで、成長が一目でわかるようになり、モチベーションを維持しやすくなります。

定量的なものに落とし込むのは英語の経験や知見があってこその技術なので、ここはまさに英語コーチの力の見せ所です。

先ほどの「英語で日常会話ができるようになりたい!」というゴールには数字が入っていないですが、この状態で学習を開始するとどうなるでしょうか?

これは自信を持って言えますが、このままの状態だと99%挫折します。

なぜなら目標の中に数字を一切含めていない状態でめちゃくちゃ勉強したとしても、自分の成長が目に見えてわからないからです。

だから、1週間くらいは頑張れたとしてもそのあと続かずみんなやめてしまうんです。

ただ逆に、目標を数字を使ったものにも置き換えて計測できる状態にしていると日々モチベーションを維持することができます。

例えばみなさんの中にダイエットの経験がある方もいらっしゃると思いますが、毎日鏡だけ見て自分の体を見て、成長している!ダイエットが進んでいる!という感覚ってありますか?

僕も経験がありますが、そんなことはないはずです。

鏡で自分の体を見ても変化には気づけないので、毎日体重計で計測して数字を出して初めて、「お!体重減ってるじゃん!」とがんばれるものですよね。

英語学習も、全く同じもの。

つまり、目標を数字を入れたものに置き換えて計測可能なものにしていくと学習が続いていきます。

それでは実際に、先ほどの「日常会話」の英語レベルをリスニングとスピーキングに分けていきます。

リスニング:

WPM150程度のスピードの英語を6-7割程度理解する事ができる。

→そのために少なくとも5000-6000語程度の語彙量(単語・熟語)が必要。

スピーキング:

SPM8-10WPM70-80程度のスピードで文法ミスが全体の2-3割程度で話す事ができる

→そのために少なくとも2000-3000語は瞬発的に意味を出せる語彙(単語・熟語)が必要。

【WPM】
1分間に話される単語の数
(TOEICのリスニングはWPM150程度が平均です)

【SPM】
1分間に話す事ができる英文の数
(途切れなく話していくためには8-10文程度必要)

WPMやSPM、語彙量などの計測の仕方はコーチングの別記事で改めてまとめていきます。

上記はあくまで一例ですが、他にも日常会話であれば TOEIC L&R で最低でも600-700点、TOEIC S&W ならSが120-140点、Wが140点以上、Versantなら45-50点以上、という形で定量的な試験を使った目標に落とし込んでいくこともできます。

計測可能な数字を出すことで、学習を始めて1-2ヶ月後にどのくらい英語力が伸びているかなどを計測できるようになりモチベーション維持や課題の整理もやりやすくなっていきます。

Achievable(達成可能な)

続いては、「Achievable(達成可能な)」。

これは現状の英語力から考えて、達成可能な現実的なゴールを立てるということを意味しています。

「英語で日常会話ができるようになりたい!」という目標があったとして、これが基礎の基礎を学んでいる最中の人の目標か、またはある程度英語の基礎が入っている状態の人の目標なのかで、達成可能かや学習するべきことは全く異なってきますよね。

英語の基礎を学び始めたばかりの人が「1ヶ月で英語ペラペラ、ネイティブレベルになりたい」というのは、いくらなんでも無謀な話。

ダイエットでも、「いきなり月に10kg減らす!」みたいな目標だと無謀ですし、とんでもなくつらくなってしまいますよね。しかもリバウンドもしやすくなるはずです。

そのため、Achievable(達成可能な)の項目では、数字や学習できる期間・時間を整理し、現実的かつ達成可能な目標を探っていきます。

具体的には、目標を達成可能なものにしていくために大きなゴールを分解して、小さなステップでマイルストーンを立てていきます。

仮に中学・高校の英語学習を全て終えた方が「英語で日常会話ができるようになりたい!」というゴールを持った場合は、下記のようにステップごとに分解して達成を狙っていきます。

リスニング

①基礎的な単語が聞こえるように、音の変化・発音の基礎をマスターする

②音声知覚(音を聞き取る力)をWPM150程度なら6-7割聞こえる状態を作る

③意味理解(意味を理解する力)をWPM150程度なら6-7割理解できる状態を作る

スピーキング

①基礎的な1000単語の日→英が1-2秒で即座に出せる状態を作る

②文章化(文章を素早く作る力)を鍛えてSPM8-10の状態を作る

③音声化(文章を正しく発話する力)を鍛えて、聞き取りやすい英語を使う

このようにステップごとに分解していけば、大きなゴールも達成可能なものに見えてきます。

ポイントは、小さなステップにも先ほどの Measurable(計測可能な)を入れている点で、数字を入れることで目標が達成できているかを確認しながら進めていくことができます。

Relavant(関連した)

続いては、「relavant(関連した)」です。

こちらは少しわかりづらいですが、個人的には目標を達成することでどんな良いことがあるのか、逆に達成できなければどんな悪いことがあるのか、などを整理する項目と定義しています。

(※こちらは Realistic(現実的)と定義される場合もあるので、個人的な見解を話していきます。)

これをすることで、理想の状態からはポジティブなモチベーション、恐怖の状態からは適度なプレシャーのかかるモチベーションを生み出すことができます。

またダイエットの例を出してみますが、痩せたら…「モテる、カッコよくなれる、自信が湧いてくる、オシャレな服が着れる」、逆に痩せなかったら「結婚式が近いのにドレスが着れない、いつまでも着たい服がきれない、夏に海にいけない」など目標に関していろいろな未来を想像することで、やる気が湧いてきたりすることがあるはずです。

こちらも、英語学習に適用できる考え方です。

今回の「英語で日常会話ができるようになりたい!」という例を使うと、目標を達成できた場合どんな良いことがあるのか、そして達成できない場合の悪いことを整理していきます。

良いことの例

  • 英語が話せるようになることで自信がつく
  • 海外旅行が楽しめるようになる
  • 周りから褒めてもらえる
  • 年収が上がる
  • 仕事でのストレスが減る

悪いことの例

  • 英語に対してのコンプレックスが強まる
  • 海外旅行が楽しめない
  • 周りが英語ができるようになるが自分はできない
  • 年収が下がる可能性がある
  • 仕事での自由度が高まらない

このように目標を達成することに関連したベネフィットやデメリットを整理していくことで、自分の中でモチベーションを高めゴールに向かって走ることができるようになっていきます。

かの発明王トーマスエジソンは新しいものを開発するとき「波及効果ノート」というものをつけていたそうです。

これは「〇〇の発明」ができた場合に、どのようなポジティブなことが起こるか、逆にできなければどんなネガティブなことが起こるかを羅列したものだったそうです。

このノートをつけることで、エジソンはモチベーションを管理していたようで、発明に向けてのチャレンジをし続けることができたそうです。

SMARTなゴール設定のRの部分を決めることで、目標に向かう英語学習のやる気も維持できるようになるということですね。

eichan
eichan
eichanもモチベーションコントロールは英語学習7年間の中で一番気にしていたもので、下記の記事に詳しいコツを書いています。

Time-based(期限のある)

最後は「Time-based.(期限のある)」。

こちらは、「〇〇までにゴールを達成する」と、期限を決める項目です。

生徒さんと目標設定する際に、私はこの Time-based(期限のある)を SMART の中でも特に重視していて、自身の目標を決める際も常に強く意識しているポイントです。

期限を決める一番のメリットは、「締め切り効果」が発動すること。

【締め切り効果】
締め切りが明確に決まると、するべきタスクに集中できる心理効果

例えば「〜のセールは何日まで!」と期限が決まっていると普段は買わないのに買ってしまったり、

夏休みの終わりに宿題を提出するという締め切りがあると、「しょうがないからやらなきゃ…」と学習できるようになったりすると思うのですが、英語学習でも全く一緒です。

常に目標に対して達成までの期限を決めていくことで、学習の継続率に格段に違いが出ます

また、期限があることで日々の学習時間を決めることができるのもメリットの1つです。

例えば「英語で日常会話ができるようになりたい!」という目標を持つ生徒さんが基礎英語レベルからのスタートだとすると、

学習時間の観点では少なくとも1,000時間程度(学習の質にもよりますが、平均的な必要学習時間です)の学習が必要です。

eichan
eichan
目標達成のためにどのくらいの学習時間が必要か算出するには、検索して調べたり、英語コーチに聞いてみてください。

それでは6ヶ月後にその目標を達成をしたい場合、日々どのくらいの学習時間を確保すればいいのか?

1,000時間 ÷ 180日= 5-6時間/日、つまり、1日5-6時間の学習が必要という計算になります。

もし現実的に1日5-6時間の学習が厳しい場合は、1日2-3時間に減らして、1年後に目標を達成するというロードマップを作ります。

6ヶ月という厳密な期間を設定するなら、休日などに学習する時間を増やして、目標達成を目指す。

このように、一度期限を決めると目標設定を調整していくことができるので、生徒さんを指導する英語コーチにとっても生徒さんにとってもわかりやすい指標を作ることができます。

まとめ

今回は、英語学習の肝となる目標設定をサポートするたった1つのこと、「SMART」というフレームワークについてお伝えしました。

  • Specific
    (具体的で)
  • Measurable
    (計測可能で)
  • Achievable
    (達成可能で)
  • Relavant
    (関連性があり)
  • Time-based
    (期限がある)

全てに対応したゴール設定が理想ですが、部分的にあてはまっているだけでも十分目標を明確にしていくためには役立ちます。

ぜひご自身の今持っているゴールを、これらの項目にあてはめて考えてみるようにしてみてください。

今回ご紹介したSMARTのフレームワークに則ったことで6ヶ月でTOEIC700点台から900点台に、英検1級も取得、大手テレビ局に転職され年収が2倍になった生徒さんなどのエピソードはこちらにまとめています。

英語コーチングに関してのご質問や気になることなどがあればコメントやTwitter(@eichan_ruh)、ブログの「お問い合わせ」からご連絡いただけたらと思います。

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それでは、今回も最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!