コーチング

【英語コーチングの分析術】英語の弱点・課題を見つける3つのテクニック

英語学習を効率的に進めたいのですが、やり方がわからないです…。

どうしたらいいでしょうか?

英語コーチをしていると、効率的な学習方法について聞かれることがとても多いです。

私も自分自身で英語学習を進める中で、何度も効率について考えていたのですが、なかなか答えは出ませんでした。

ただ、今は7年間の英語学習経験、3年間100人以上の生徒さんへの英語コーチング経験を通じて、英語学習の効率を上げる方法が明確にわかってきました。

結論を言ってしまうと、効率の高い英語学習は下記の2つの掛け算で実現できます。

特に「適切な課題分析・分解」ができると、自分の弱点が見えて重点的に改善することができるので、学習の効率だけでなく楽しさも「圧倒的に」高めることができます。

また、「課題分析・分解」は英語コーチングの流れの中で「目標設定」の次に行う大切なプロセスです。

※「適切な教材・トレーニング方法選定」については次回の記事でお話しします。

今回の記事では、私が英語コーチとして生徒さんの課題分析をする際に使っている3つのテクニックをお伝えし、英語コーチになりたい人や英語学習を頑張られている方に役立つ視点を共有していきます。

独学で英語学習をされている方は実際に課題発見をしながら進めていけるので、ぜひ参考にしてみてください。

それでは、いってみましょう!

課題分析術①:
効果的なテスト

英語の適切な課題分析のために必要な1つめのテクニックは、効果的なテストを実施することです。

学生時代の名残か、テストと聞くと「うわっっ」と思ってしまいますが(私だけでしょうか?笑)、課題分析をする上でテストは非常に役立ちます。

なぜなら一定の時間内に答えられる力、問題回答の流れを可視化することができるからです。

加えてテストであれば実践と同じ状態で一定の緊張感もあるので、本当の実力が計りやすいです。

特に、目標設定を済ませた後は、現状値(今の英語レベル)を把握することで次の戦略が決まるので、テストを通じて生徒さんのレベル感や課題をできる限り的確に絞り込んでいきます。

テストのやり方は様々ありますが、今回はレベルチェックに必ずと言っていいほど使える代表的な3つをお伝えします。

eichan
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実際に実践してみてください😊

1. 単語テスト

単語テストはどんなレベルの方にも通用するもので、語彙量を測るために実施します。

生徒さんの現状の語彙量がわかることで、

①その方の目標に対しあとどれくらいの語彙量を追加すればよいか

②語彙の学習で何ができていないのか

という課題を見つけるヒントを得ることができます。

例えば、レベル別に分けた語彙を出題していくことで、「覚えられていない単語」や「覚えられているけど瞬発的に出てこない単語」が明確にわかります。これがその方の弱点になりえます。

私の個人的なテストやり方としては、TOEICの点数別に分けた単語をそれぞれ10個程度ずつ用意し、正答率で語彙量を、時間を計測してどの程度のスピードで意味が出せるかどうかを見ていきます。

また、TOEIC受験経験がある生徒さんの場合は、その方の「TOEICの点数×10倍」をするとだいたいの語彙量を推定することもできます。

TOEIC600点の人であれば語彙量は6,000語、300点の人は2,000-3,000語というイメージです。
(※あくまで推定です)

【日本人英語の語彙量】

小学校卒業時:
約600-700語程度

中学校卒業時:
約2,200-2,500語

高校卒業時 :
約2,600-3,100語

出典:文部科学省【外国語編 英語編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説

独学で実践される場合は下記の「金のフレーズ」などを使い、意味が理解できない単語や、1-2秒以内に出てこない単語をチェックしていくことで、

「覚えるべき単語」だけでなく、「覚えられているけど瞬発的に出てこない単語」も見つけることができます。

それらの単語を重点的に学習していくことで、課題・弱点発見につながり効率的な学習が行えるようになります。

2. リスニングテスト(WPM)

リスニングテストとしては、WPM(Words Per Minute)という速度を測る指標を使います。

WPMとは1分間あたりの英単語数を表すもので、これを使うと英語の音声スピードを数値化することができます。

WPMという指標を効果的に使うことで、生徒さんが「聞き取り」に課題があるのか、それとも「意味を理解する」のに課題があるのかを判別することができます。

例えば、下記の音源はそれぞれWPM140-150程度とWPM180-190程度のものですが、スピーカーの発話のスピードが明らかに違いますよね。

■ WPM140-150

■ WPM180-190

いかがでしょうか?
それぞれどのくらい聞き取り、理解できましたか?

私が行っているテストの方法としては、このようなスピードやイントネーションの異なる音源を聴いていただき、部分的なディクテーションやリピーティング、内容の要約などをしていただいたりします。

まずディクテーションやリピーティングで、生徒さんの聞き取りの課題を判別します。

そして要約では、聞き取りの課題に加え、意味がどのくらい理解できているかという内容理解の課題も判別します。

一口に内容理解といっても、スピードに追いつけていない、聞こえてはいるけど意味の理解が追いつかない、単語・表現の意味を知らない…など、課題は人によってさまざま。できるだけ細かく分解できるように、テストの際は私もかなり集中しています。

※スピードにはついていけても、知っている単語・表現の量、スピーカーの話し方・アクセントなどによって理解度は異なるので、テストはあくまでも目安として活用します。

音がそもそも聞き取れていないことが課題であればシャドーイングや発音学習、意味が取れないのであれば多聴やディクテーションなど、課題がわかることで次にやるべきことが決まっていきます

3. スピーキングテスト(SPM)

続いてはスピーキングの課題発見。

リスニングでは WPM(Words Per Minute)という指標を使いましたが、スピーキングにはWPMに加えSPM(Sentence Per Minute)という数字を使っていきます。

SPM とは1分間あたりに話せる英文の数を表すもので、英語のスピーキングを定量的な数字に落とし込むのに役立ちます。

SPMを計測することで「英文を瞬発的に出す速度が遅い」「文法・語彙の知識が足りない」「正しい発音ができていない」などの課題を発見することができます。

例えば、下記のような質問に対して、2つの回答パターンを見ていきます。

Which do you like better, cats or dogs?

パターンA:

I uhhh like cats. Because ah,,,
えっと、なんだっけ、ah cats are cute. 
And (沈黙…)I have a cat…

パターンB:

I like dogs.
Because they are very cute.
uhh,,, well… I had dogs.
When I was young. 
We liked them.
They are always cute.

これら2つの英文の数を数えると、パターンA は「SPM3」、パターンB は「SPM6」ということになります。

eichan
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ちなみに、日本人の平均SPMは3-4程度で、ネイティブは15-20以上です。5-6倍差がついているので、それはなかなか彼らと対等に話せないですよね(^^;;

今回の場合、パターンAもパターンBも課題は「英文を瞬発的に出す速度が圧倒的に遅い」、加えておそらくパターンAは「文法・語彙の知識が足りない」、

パターンBは「複数の文法を組み合わせて話すことができない」なども課題の候補して挙げていくことができます。

課題分析術②:
効果的なヒアリング

英語の適切な課題分析のために必要な2つめのテクニックは、効果的なヒアリングをすることです。

ここでいうヒアリングとは、生徒さんの課題を見つけるために質問をしたり、相手の話を徹底的に聞くということを指しています。

効果的なヒアリングができると、生徒さんの本当の課題を見つけることができます。

本当の課題を見つけることができると学習に対して納得感も増すので、英語学習の質や効率が高まることにつながっていきます。

効果的なヒアリングの方法もいくつかありますが、今回は代表的な2つをご紹介します。

eichan
eichan
独学で学習されている方もこれらの問いを自分に投げかけると課題が見えてきたりするので、ぜひやってみてくださいね!

1. 5W1H

効果的なヒアリングの方法の1つめは、5W1H を使った質問をすることです。

5W1Hとは英語でオープンクエスチョンと呼ばれている質問のタイプで、下記の6つの質問のことです。

  • What「何?」
  • When「いつ?」
  • Where「どこで?」
  • Who「誰と?」
  • Why「なぜ?」
  • How「どうやって?」

オープンクエスチョンの質問をすることで、より細かい情報を聞き出すことができ、生徒さんの課題を見つけやすくなります。

下記のような5W1Hの質問を重ねていくことで、様々な課題のヒントを見つけることができます。

単語学習を例にとって見てみましょう。

  • 何を意識して学習しているか?
    • スペルを覚えること(=回転率が悪い
  • いつ学習をしているか?
    • 仕事終わりの深夜(=集中力が低い
  • どこで学習をしているか?
    • 家族がテレビを見ているリビング(=集中力が低い
  • 誰と学習しているか?1人でやっているか?
    • 友達とカフェで(=集中力が低い、音声が聞けない
  • なぜ(その時間・場所で)学習をしているか?
    • 後回しにしている(=習慣化ができていない
  • どうやって教材を回しているか?
    • 1日1回見るだけ(=回転率が悪い、学習効率が悪い

このように5W1Hを使っていくことが学習の質や、うまくできていないこと(課題)を見つけるために役立ちます。

ちなみに、クローズドクエスチョンと呼ばれる Yes/No で答えられるような質問は、逆に生徒さんの意思決定を迫ったり、覚悟を決めていただいたりする上でとても有効です。

続いて、Whyの部分をさらに深掘るテクニックをご紹介します。

2. 3Why

効果的なヒアリング方法の2つめは、3Why (スリーワイ) です。

3Whyとは相手の発言に対し、3回以上のwhy(なぜ?)で深掘りをするというヒアリングの技術です。

whyの質問で深堀りをしていくことで、なぜ生徒さんがその課題を抱えているのか、どのような課題を抱えているのかを見つけていくことができます。

例えば、生徒さんから「単語が覚えられないです」という発言があった場合、下記のように3whyをしていきます。

生徒さん:
単語が覚えられないです…

コーチ :
なぜ単語が覚えられないと思いますか?

生徒さん:
う〜ん、覚えたと思ったら忘れていってて…

コーチ :
なぜ忘れていってしまうと思いますか?

生徒さん:
なんでだろう…書いて覚えているからですかね…

コーチ :
なぜ書いて覚えているんですか?

生徒さん:
受験勉強をそうやってきたので、その癖で…

 (↓ここから課題発見・解決)

コーチ :書くよりも、見たり聞いたりする回数を増やすほうが効率的に覚えられますよ!
(※諸説あり)

どうでしょうか?

最初は「単語が覚えられない」という漠然とした課題だったのに対し、3Whyで深掘ったことで「単語に出会う回数が少ない」というクリアな課題を見つけることができました。

もちろんそれが本当の課題かどうかは吟味していかなければいけませんし、伝え方も「なんで?」「なぜ?」ばかりだと圧を与えてしまうので工夫の余地はあります。

人は「なぜ」という言葉に否定的なニュアンスや問い詰められている印象を持つことが多いです。

なぜなら子供の頃から「なぜこんなことをしたの?」「なぜ〜なの?」と、「なぜ」はあまりよくないことや結果に対しての問いかけに使われてきた言葉であることが多いからです。

Whyを使いすぎてしまわないような工夫として有効なのが、「何(What?)」で聞くことです。

仮に、あなたがなかなか学習ができない1週間を過ごした生徒さんだったと仮定しましょう。そんなときにコーチから下記のように2通りの質問をされたときの印象を考えてみてください。

A「今週はなぜ英語学習の時間が減っているんですか?」

B「今週の英語学習の時間が減った要因は何だったんでしょうか?」

いかがでしょうか?もちろん個人差はあると思いますが、Aのように聞かれると、ついつい言い訳をしたくなりませんか?

一方で、Bのように聞かれると前向きに具体的な要因を考えようとする人が多いのではないでしょうか。

原因の深堀りをしていくときは、このように聞き方ひとつで生徒さんが心を許し、コーチングするうえで必要な情報を聞き出せるかどうかが変わってきます。

いずれにせよ生徒さんと信頼関係が築けていないと本当の課題を伝えてくれない場合もあるので、これらはあくまでテクニックの1つで本質的には信頼関係を築くことを一番大切にしていきましょう。

eichan
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生徒さんと信頼関係が築けていないと本当の課題を伝えてくれない場合もあるので、これらはあくまでテクニックの1つで本質的には信頼関係が最も大切だと個人的には常々思っています。

課題分析術③:
効果的な性格診断

英語の適切な課題分析のために必要な3つめのテクニックは、効果的な性格診断をすることです。

生徒さんの性格診断をすることで、英語学習において生徒さんにとってどのようなことが課題として感じやすいのか、そしてどのように学習を進めていけばよいのかがクリアになっていきます。

性格タイプを診断するには、下記のようなフレームワークを使う方法があります。

eichan
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英語コーチとして様々な生徒さんに出会うと、自然と性格がわかってきたりもするので、経験が何より一番大事だとは思っています。

ソーシャルスタイル理論

ソーシャルスタイル理論は、1968年にアメリカの産業心理学者であるデビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーションの理論です。

人間の性格タイプを大きく4つに分ける手法で、下記の4つに分類します。

タイプによって「何を課題と捉えるのか」が変わっていくので、このタイプを知っておくとコーチにとっても自分にとっても英語学習のコーチングを進めやすくなります。

eichan
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最初は「こんな性格診断当たらないでしょ…」と思っていたのですが、生徒さんを何百人と見ていると当たっている部分が多いなと体感し、今では参考にさせていただいています。

もちろんタイプに縛られるのは良くないですが、一つの技術として使えるフレームワークです。

下記のサイトから自分の「ソーシャルタイプ」を判別することができるので、ぜひやってみてください。

ソーシャルタイプ診断

引用:WOWOW COMMUNICATIONS

ちなみに、このような性格診断の方法はいくつかあり最近はDISC理論というものも活用するようにしています。

DISC診断

引用:VONVON

こちらも性格が大きく当たるので、ぜひ自分のタイプを判別するために活用してみてくださいね。

まとめ

今回は、英語コーチングで有効な課題分析・分解のテクニックを3つご紹介しました。

  • 効果的なテスト
  • 効果的なヒアリング
  • 効果的な性格診断

代表的なものを厳選しましたが、どれも生徒さん100人以上を指導してきて効果的なものだったのでぜひ独学で学習されている方も実践してみてください。

また、いろんな方々とお話したりコーチングをさせていただくことでテクニックはどんどん増えていき、課題発見の技術は磨かれていくと思うので今後もさらなる学びを共有していきます。

eichan
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私もまだまだ未熟なので、さらに精進していくつもりです💪!

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それでは、今回も最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!

記事を読んでくださって、ありがとうございました!