リスニング力UPのために色々試してるけど、全然上達を感じません…
英語コーチ/講師をしていると、生徒さんからこのようなお悩みを聞くことがよくあります。
特にリスニングに関しては少し成長したと思ったらまた聞こえなくなったり、色んな人が様々なトレーニング方法をオススメされているので、
「結局何やればリスニングは伸びるんだ…」と不安に思われる方も多いと思います。
私も自分自身の7年間の英語学習や生徒さんの指導経験を通じて、リスニングの壁を何度も感じてきました。
しかし、今ではリスニングができないという状態からリスニング力を伸ばしていく方法が明確にわかってきています。
それは、英語のリスニング力を上達させる適切なステップ、そしてそれを生徒さんに実践していただき実際に大きな成果が出ているからです。
今では英検5級やTOEIC150点程度の初心者の生徒さんであっても、短期間でリスニング力を上げるための適切なアドバイスができる自信がつきました。
そこで今回は、自分自身だけでなく生徒さんにも成果があった再現性の高いリスニング力向上方法を徹底解説していきます。
- 再現性の高い学習方法がインプットできる
- リスニング上達のステップが理解できる
この記事を読み終える頃には、今の自分のリスニングの課題発見方法、そして何をすれば着実に上達していけるのがクリアになり、英語リスニング力が伸びないという不安は払拭されます。
課題を見つけるためのアクティビティも用意したので、ぜひチャレンジしてみてください!
それでは、いってみましょう!
目次
英語リスニング上達3ステップ
それでは早速、英語リスニング上達のステップを確認していきましょう。
基本的に自分の今の英語力レベルに関わらず、下記の3つの流れを踏めば確実にリスニング力は上達していきます。
目標設定
リスニング上達を図る上で一番初めのステップは、何を聞き取れるようになりたいのか?という目標設定です。
当然ですがゴールがないと「どれだけ学習をすればいいのか」「何をすればいいのか」が曖昧になってしまうので、上達への道筋がなくなり途中で学習を挫折する可能性が高くなります。
そしてリスニング力の向上には一定の継続が必要なので、結果的にリスニングは伸びません。
リスニングにおける目標設定の例としては、下記のようなものがあります。
- TOEICのリスニングで、〇〇点を取りたい
- TOEICのリスニングで、大体の概要を掴めるようになりたい
- 日常会話で、相手の言っていることを大まかに理解したい
- ビジネスの場(会議)で、周りの人が発言していることを掴みたい
- 海外のニュース番組を理解したい
- 洋画や海外ドラマを、字幕なしで楽しみたい
目標設定は人それぞれだと思いますが、まずは上記のように少し具体的にゴールを設定してから、それに基づいて次のステップである「課題発見」(何が原因でリスニングができないのか)を行っていきます。
(より具体的な目標設定のやり方に関しては、下記の記事に書いています)
課題発見(分解)
「目標設定」が終わったら、次は2つめのステップ、何が原因で聞こえないのか?という課題発見をしていきます。
課題発見をする理由は、弱点を見つけてそれを改善する、ということを繰り返していくことが効率的にリスニング力を上達させる方法になるからです。
目標設定に応じて課題は微妙に異なりますが、一度自分の目標とする音源を聴いてみて、「何が原因で聞こえないんだろう?」と分析してみてください。
自分自身の経験や生徒さんのご様子を見ていると、リスニングにおける課題は、大きく2つにわけることができます。
ここでは2つに大別できるリスニングの課題を、細かく深堀りしていきます。
音が聞き取れない(音声知覚)
リスニングにおける1つめの課題は、音が聞き取れないことです。
当たり前ですが音源を聞いた時にまず「音を聞き取る」ことができないと、そもそもその音は雑音として脳で処理されます。
応用言語学的に「音声知覚」と呼ばれるこの音を聞き取る力は、鍛えていかないといつまで経っても、
「音が早すぎて聞き取れない」「発音が難しくて聞き取れない」「ゴニョゴニョしゃべられて聞き取れない」などの問題を発生させます。
意味が理解できない(意味理解)
リスニングにおける2つめの課題は、意味が理解できないことです。
仮に上記の「音声知覚」がうまくできて音を聞き取れたとしても、文法や単語の意味がわからず全体の意味が取れないと、リスニングはうまく成立しないです。
また、単語や文法を知っていたとしても即座に単語の意味が思い出せなかったり、文法の理解が遅れてしまうと流れているリスニング全体の内容を把握することはできなくなってしまいます。
この「意味を理解する力」と先ほどの「音を聞き取る力」はそれぞれ別の力なので、リスニング力を上達させるためには”課題に応じて”適切なトレーニングを行なっていく必要があります。
(より具体的な課題発見のやり方に関しては、下記の記事に書いています)
課題解決
目標設定・課題発見が済んだら、最後のステップ、課題解決、つまり先ほどの課題を修正していくことでリスニング力を上達させていきます。
リスニングにおける課題は先ほどお伝えした内容が大半なので、それぞれに対して適切なトレーニングを選択し課題解決を図っていきます。
具体的には、「音が聞き取れない」という問題に対してはシャドーイングやディクテーション、「意味が理解できない」場合には文法・単語学習、多聴などが効果的なトレーニングになります。
- 音が聞き取れない場合 :シャドーイング・ディクテーション
- 意味が理解できない場合:文法・単語・多聴
それぞれ、より詳細にトレーニングの内容となぜ効果的なのかについて解説していきます。
ただ闇雲にみんながやっているからという理由でトレーニングをしても効果がないので、しっかり何の目的でこのトレーニングをするのかを理解して取り組んでいきましょう。
シャドーイング
シャドーイングとは音源から2〜3語遅れて追いかけて再現(発話)するというトレーニングで、実施する目的は音が聞き取れない問題を解決するためです。
シャドーイングをしていくなかで再現できない音=自分が聞き取れていない音なので、それらの音を多く見つけて、何度も繰り返しシャドーイングをしていくことで徐々に苦手な音が聞き取れるようになっていきます。
詳しいやり方は、シャドーイングの記事をご覧ください。
ディクテーション
ディクテーションとは聞いている音源を書き取るというトレーニングで、目的は音を聞き取れない問題を解決するというものです。
ディクテーションの効果は、自分が聞こえない音を明確に見つけることができること。
聞こえない音は当然書き取ることができないので、弱点を発見するためにはとても効果的なトレーニングです。
文法・単語学習
文法・単語学習は、リスニングにおける「意味が理解できない」という問題を解決するために行うトレーニングです。
これはイメージがつきやすいと思いますが、単語の意味や文法の使い方を理解していないとリスニングで「意味」を理解することはできません。
特に単語、文法を瞬時に頭の中で理解することができるようにならないといけないので、
日頃の学習から単語は1秒以内で意味を出す、文法は人に説明できるレベルまで理解している状態を目指していく必要があります。
多聴
多聴とは、多くのリスニング音源を聴くというトレーニングで、リスニングにおける「音が聞き取れない」「意味を理解できない」という両方の問題を解決する方法です。
多量の音源を聴いていくことで、音声が聞き取れる力も、意味を理解する力もついていくので非常に効率の良いトレーニング。
ただ意識的にトレーニングを行なっていかないと「聞き流し」のような形になって結果的に効果が薄まることがあるので、正しいタイミングとやり方で実践していきましょう。
今回ご紹介しているトレーニングの具体的なやり方、適切な教材は下記の記事にまとめています。
【アクティビティ】リスニング上達を体感する
それではここから先ほどのリスニング上達ステップで見てきた改善方法を、実際にアクティビティを通じてみなさんに体感していただきたいと思います。
一旦今回は、下記のような音源を聞き取れるようになるには?という目標を想定して、ステップ通りに学習を進めてみたいと思います。
リスニング上達のステップを整理すると、このような感じでしたね。
①目標設定
②課題発見
③課題解決
※今回は、下記の音源を聞き取れるようになることを「目標」とします。
それではまず課題発見のフェーズから始めるので、下記の音源を聞いて「音が聞き取れないのか」「意味が理解できないのか」を区別していきましょう。
課題発見
音源をリスニングしてみていただいて、いかがでしたでしょうか?
まずは自分がリスニングできない原因分析をするので、先ほどの2つの課題「音が聞き取れないのか」「意味が理解できないのか」を判断していきます。
今回はわかりやすく、どちらもできなかった想定で次のステップをご説明していきます。
音が聞き取れない
まずは音が聞き取れなかったパターンです。
今回の音源のスクリプト(スタートから14秒まで)と、聞き取りにくい箇所を( )で囲ってみました。
Welcome to English (in a Minute).
Most people enjoy going to parties.
You (get to be) around friends, eat food and maybe listen to music.
(But do your) parties ever have animals?
()でくくった箇所のように、まずは「自分が聞き取れない」箇所をクリアにしていきます。
今回は、全体の音を聞き取れなかったというよりは細かい音が聞き取れなかったケースを想定してみています。
- in a minute は in a がつながって [イナミニットゥ]
- get to be は音がつながったり消えたりして [ゲットゥビィ]
- But do your も [バデユゥア]のように変化
これらの音が変化する箇所はもともと自分が持っているイメージと発音が違うことが多いので、聞き取りにくい傾向にあります。
意味が理解できない
続いては「意味」の観点で、意味が理解できない部分を分析・発見していきます。
文法と単語に着目しながら、意味がスムーズに理解しにくいであろう箇所をハイライトしてみました。
Welcome to English in a Minute.
Most people enjoy going to parties.
You get to be around friends, eat food and maybe listen to music.
But do your parties ever have animals?
ハイライトした箇所の単語の意味を文法を分解すると、
- in a minute 「1分以内で」
- get to be around 「〜周りにいる機会を得る=一緒にいることができる」
- ever have animals? の ever 「かつて、これまで」
という風に細かくすることができます。
「音が聞き取れない」「意味が理解できない」の課題分解がすんだら、いよいよ聞き取れる状態(課題解決)のフェーズに進んでいきます。
課題解決
それでは、「音が聞き取れない」「意味が理解できない」それぞれの課題がわかったところで、どのように解決していくかを見ていきましょう。
課題解決の方法は先ほどご紹介した通りいくつかありますが、今回は取り組みやすいものを特に体験していただきます。
音が聞き取れない箇所は細かい音だったので、ディクテーション。
意味が理解できない部分は単語と文法が原因だったので、文法・単語学習を選んで進めていきます。
ディクテーション実践
まずはディクテーション。
やり方としては、下記の流れで実施していきます。
①音源を聞きながら、
聞こえた音を書き取る
②スクリプトを見ながら書きとれない箇所(=自分が聞こえない箇所)をメモする
③自分が聞こえない箇所の音声を確認する
④自分が聞こえない箇所の音声を聞きながら、音源を真似して5-10回程度発音する
⑤音源を聞き、聞きとれなかった音が聞き取れるようになったら学習を終了する
今回の例でいうと②が()でくくった箇所だと仮定しているので、()内に対して③④のアプローチをしてみましょう。
Welcome to English (in a Minute).
Most people enjoy going to parties.
You (get to be) around friends, eat food and maybe listen to music.
(But do your) parties ever have animals?
ついついディクテーションというと「書き取り」で終わってしまいそうですが、聞こえない音が判別できたら何度も発音を練習して、
その場で聞こえる状態を目指すことが重要です。
単語・文法解法実践
続いては単語・文法解法です。
単語・文法の解法はイメージしやすいと思いますが、下記のような流れで実施していきます。
①音源を聞きながら、単語・文法で理解できない箇所を見つける
②単語の場合は単語の意味を検索、文法の場合は文法項目を検索する
③それぞれ理解できたら、音源のスクリプトを見て意味がわかるか確認する
今回の例でいうと①がハイライトした箇所だと仮定しているので、ハイライトの箇所に対し②のアプローチをしていきます。
Welcome to English in a Minute.
Most people enjoy going to parties.
You get to be around friends, eat food and maybe listen to music.
But do your parties ever have animals?
単語でいうとminute「分」、enjoy「〜を楽しむ」、get to be「〜することができる」、ever「これまで、かつて」、
文法ではin a 〜「〜内で」、enjoy+動詞のing形「〜をすることを楽しむ」、get to+動詞の原型「〜することができる」、everは強調の意味がある。
このように一つ一つクリアにして、音源のスクリプトを見て内容が完全に理解できる状態を目指します。
あくまでこれは一つの例ですが、ディクテーションや単語・文法解法を通じて1つの音源で「音が聞き取れる状態」「意味が理解できる状態」まで到達することができたら、
確実にリスニング力は上達していきます。
上記を実践した上で、元々の音源をもう一度聴いてみてください。
【まとめ】リスニング上達の3ステップ
アクティビティはいかがでしたでしょうか?
どんな音源であれ、リスニング上達の3ステップを踏み、シャドーイング、ディクテーション、単語・文法解法、多聴など適切な「課題解決」方法を実践していけば必ず英語のリスニングは上達させていくことができます。
ついついリスニングは何をやっていいか迷ってしまうことが多いので、迷ったら一度こちらの3ステップに立ち返り、分析、トレーニングを繰り返してみてください。
具体的なやり方など不明点が出てきたら、コメントやTwitter(@eichan_ruh)で聞いてください😊
記事を読んでくださって、ありがとうございました!